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深夜プラス1




一万二千フランというのは計算することができる。
だが、カントンであるということは計算できない。


深夜プラス1』はハヤカワ文庫より出版された、イギリス作家ギャビン・ライアルの長編小説である。
発表は1965年と古く、イギリス発の冒険小説としては古典的名作に入る一冊であり、日本では菊池光による翻訳で出版されている。
本書を最初に読んだのは、もう4~5年前であって、今頃ふと再読してみると、なんとも大きな衝撃を受けたことに驚かされた。本書を最初に読んだころは、これほど面白いとは感じなかったのだが、自分の読解力の向上故にか、はたまた作品の奥深さを当時気づかなかっただけなのかもしれない。

婦女暴行の容疑をかけられたマガンハルトは、自身の持ち株にかかわる重要な集会のためにリヒテンシュタインへ向かわねばならなかった。フランス警察と、彼の命を狙う何者か――板ばさみに合う彼を助けるべく雇われたのは、フランス・レジスタンスの経験を持つルイス・ケインと、ヨーロッパでナンバー3と言われるガンマンのハーヴェイ・ロヴェルであった。
ケインとロヴェル、マガンハルトとその秘書ミス・ジャーマンを乗せた車がフランス横断に挑む。敵の正体、戦争を引きずるケインの美学、そしてロヴェルに隠された問題――何十にも織り込まれた要素が絡み合う。

金とプライドで揺れる、銃を捨てられぬケインの苦悩。ロヴェルに隠された大きな悩み。
ある意味駄目男の境地にいる二人のガンマンの心情が、このフランス横断の旅で大きく描かれている本作は実に渋い。また作者が徹底してこだわった銃描写(モーゼルC96とS&W M36)はその筋の話が好きな方ならよだれものではないだろうか。
筆者的には主人公であるケインの心情の深さに、再読では驚かされる。銃を撃つ理由を求め、最終決戦で苦悶する姿は実に寂しい男の究極系だ。彼の引きずる"戦争"という影の深さを思い知ることになる。
古典と思うなかれ。上質な作品は後世に自然と残る。この深夜プラス1もそのひとつに違いない。
お勧めです。
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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