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言壷




私を生んだのは姉だった。

『言壷』は神林長平の短編連作である。
1994年に刊行された本書は、作者にはおなじみの早川からではなく、中央公論社からの出版となっている。
また、本書は第16回日本SF大賞受賞作である。

使用者の著述能力を支援する、ワープロを進化させたかのような機械『ワーカム』。
舞台となる世界では、このワーカムがなくては社会機能が成り立たないほどに浸透していた。
それぞれパーソナルな利用をされたワーカムは、使用者の著述の癖や、言葉の背景にある要素をも取り込み成長し、さらにそれぞれのワーカムともリンクし、膨大な言葉の世界を形成している。
使用者を最大能力で支援するワーカムであったが、言葉の能力を機械の力で統制しようとするその力は、ある意味では大変危険な存在である。人類は言葉による第二の現実と共に歩んでいる生き物であったから、言葉を制御されることはつまり人類を制御されるのと同義であった。
しかし、ある小説家が打ち込んだ曖昧な一文が、その秩序を崩壊させることとなる……。

神林小説において、重要なテーマのひとつが『言葉』である。本書はまさに神林流・言語を追求した珠玉の作品郡と言えよう。
常々、氏の作品では言葉が現実を変容させる力を持つと主張しており、この言壷においてはデジタル・アナログ両面でも言葉は強靭な力を発揮する。全編通して、ワーカムによって変容した世界の未来~現代の物語を描くことで、神林長平は強力な主張を完成させた。
また、言語の力は最新作『アンブロークンアロー』においても発揮されている。本書を読むことで神林流言語の世界観はさらに深まるだろう。

本作は、加えて神林長平の創作論といえるようなものの匂いを感じる部分がある。
言葉の使い方の説明、その破壊力など、これは氏が常々意識しているのではと思わせる部分が多々ある。

まさに神林長平の言葉、その要素が詰まった傑作と言えよう。
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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