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眠狂四郎・無頼剣




あいつは俺の影なのだ!流派も同じ、腕なら互角!

眠狂四郎・無頼剣』は市川雷蔵主演・眠狂四郎シリーズの8作品目である。
以前、同じシリーズ作品『魔性の肌』の感想を載せたわけだが、今回はその一作品前の『無頼剣』である。あれからというもの、どうにも眠狂四郎というキャラクターが僕の頭から消えず、いよいよもってこうしてDVDを購入するに至ったわけである。
――実は、前回の感想の『魔性の肌』をアマゾンで注文したつもりが、間違えて本作を購入したという、まぬけな経緯があるのだが、知らない作品を見たい気持ちもあったので、これはこれで正解だったのかな?
(『魔性の肌』は他所へ出たときにケーブルテレビで見たのです)

まず本作は、僕の初めての眠狂四郎である『魔性の肌』とは、また色が違う作品であることに驚かされた。
『魔性の肌』がロードムービー調で、エロティシズムを強調したシナリオに大変魅力を感じたのだが、本作はそういう面は薄い。要するに、時代劇らしい作品となっている。
僕は眠狂四郎の映画作品、その変容や進化の流れをすべて知らないので、どちらが眠狂四郎として『正しい』のかは判断ができないのだが、原作を読む限りでは、『無頼剣』は地味ではあるが眠狂四郎には違いないようだ。
『魔性の肌』が異端なのか、『無頼剣』が地味なのかは、もうすこし保留とさせてもらいたい。

地味という言葉を多用してはいるが、映画としての出来は硬質で味わい深い。
本作では、『大塩平八郎の乱』をテーマにしており、騒動の後の混乱、生き残った大塩残党の企みを描いている。覚えている限りでも、『魔性の肌』よりも日本の歴史に沿った物語となっており、時代背景を調べるとなお面白い。
(実際、まったくもって忘れていた僕は昔の教科書やwikiで色々と漁りました)
眠狂四郎が当時の老中である水野忠邦の側近、武部仙十郎とのつながりがあるからこそ生きたテーマであろう。
残党の企みと、大塩平八郎の長子・格之助への愛情故に大塩の乱の裏切り者・弥彦屋を狙う勝美。言うなればテロと国家の対立の合間に、勝美らの私怨が渦巻く……。

と、ここまで語ることで見えてくる本作の弱い点。
それはシナリオとして、『眠狂四郎』の居場所がないことである。
本作では眠狂四郎は、まるで探偵小説の主人公のように、ある種の興味で事件に関わっていく。『魔性の肌』が、自分の生まれを呪い、自発的な行動を示したのに対して、本作の狂四郎の動機はあまり濃くないのだ。
関わってくる理由は、まず第一に眠狂四郎の容貌が大塩格之助と瓜二つという数奇な運命によるもの。
もうひとつが、勝美の手相が自分と同じであるということ。
(眠狂四郎の手相が、顔を知らぬ母と同じという理由がある)
運命的ではあるが、『魔性の肌』が実に血なまぐさいだけに、本作の関わり方は探偵や、正義の味方のそれに近い。そういう見方をすれば、本作はダーディさに欠けているのが不満だろうか。
また、『魔性の肌』がヒロインの宿命を知り、知りつつも打ち明けず、最後まで見届ける、いわば『死神』のようなイメージを沸かせる存在だった眠狂四郎が、単純に女性を助けるというのも、至極正義の味方のようで物足りない。

と、ここまで叩きはするが、それは『魔性の肌』と比べればの話。
本作が正統派時代劇と見れば、その完成度は非常に高いだろう。
特に登場する大潮残党・愛染――本作のライバルは実に魅力的だ。演じるは天知茂。江戸を脅かすテロリストでありながら、その残虐さとは対極的な優しさを覗かせる場面が彼の存在感を引き立たせている。
何より、彼が使うのは眠狂四郎と同じ――円月殺法なのだ。
服装も眠狂四郎が黒に対して、愛染は白く染まった着物で、両者が対極の存在であるというのを際立たせている。こういうお約束に近い設定は、やはり魅力的で面白い。
眠狂四郎が愛染の円月殺法を初めて見るシーンは、特にいい。

批判的部分が多く思えるが、僕の最初の眠狂四郎が『魔性の肌』であっただけで、比較対象になったに過ぎないということは明記せねばならないだろう。本作は間違いなく、大変魅力的な作品である。
徹底に洗礼された侍世界のディティール、迫力ある殺陣――。
地味とは書いたが、僕はむしろこの薄味さが大変素晴らしいと思っている。何度見ても、飽きることなく見れる。
近年の大作映画に飽きた方に、洋画以外も試してみたい方に、ぜひ『眠狂四郎』をお薦めしたい。
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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

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