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プリズム





あなたがいて わたしがいる



プリズム』は神林長平の短編連作作品である。
本書は7つの連続した短編作品の集まりであり、最後の『ヘキサグラム』は本書の書き下ろしとなっている。
また、第18回星雲賞日本長編部門を受賞した作品である。

再読作品になります。
これを読んだのは神林ファンになりたての頃、雪風と敵は海賊をそれぞれ読んだあとに、最初に手を出した作品だったと思います。故に、長き長き神林作品の世界への旅立ちの作品として、非常に思い出深い作品です。
本書は短編連作という体で書かれておりますが、文章量とは裏腹にかなりディープな世界観の下地があり、最初に読んだ当時の僕の感想は『何度か読まないとわからない』とかだったと記憶しています。

とにかく神林作品に慣れ親しんだ人ならまだしも、初見でこの作品に手を出すと、ちょっとこんがらがる作品だと思います。ある神話をベースに構成された、3重の世界が舞台で、それぞれの登場人物の活躍があっちこっちで描かれているので、一見してそれぞれが独立した作品だと勘違いしがちに。
しかし、こうして再読してみると、その世界観の複雑さをテーマ性に昇華している神林先生の手腕に惚れ惚れします。
今回は「言葉」がテーマであり、言葉の質、言語のもろさ――反面として、人間の「想い」などの力のタフさが描かれていて、神林作品の中でも全体的に爽やかな作品になっています。
書き下ろしになった『ヘキサグラム』にしても、本来のオチを真っ向から否定しているのが面白いところ。
少しロマンチックな展開へと持っていったのも、物語の後味のよさを生んでおり、読後感がいいです。
『言葉』の扱い方に、神話と機械という組み合わせで挑むのが神林らしくて、いくらか先生の作品を読んでから読み直すと、なかなか発見の多い作品です。
あなたがいて、わたしがいる――このエピグラフの意味を考えるのもいいですね。

神林流の神話世界も独特です。
2つの世界の中間にあるリンボウ――人間界。
創造能力と、言葉の力を使う創言能力の描写。
色を扱う世界に、仮想空間のSOWワールド等等。
先生の作品の中でも、それほど文字数の多い作品ではないと思うのですが、詰め込まれた要素がかなり多いです。
それでも、隅々まで作ってあって抜かりがないところが、イコール『プリズム』の完成度の高さの証明でしょうか。

神林的な色彩が、かなり極端に出ているので手を出しにくい部分はありますが、読後感などは先生の作品の中でも間違いなく上位です。
おすすめ。
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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