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敵は海賊 猫たちの饗宴




新年一冊目の感想は再読作品からスタート。
敵は海賊 猫たちの饗宴』は神林長平先生の代表シリーズである敵は海賊シリーズの二冊目。
狐と踊れ』に収録されている一作目から通算すると三作品目にあたる作品。
この作品はOVAとしてアニメ化もされており、なかなか豪華なキャストの作品となっている。
ヨウメイに若干主役を奪われ気味だった前作『海賊版』から一転して海賊課がメインのシナリオを展開、前作であまり描かれなかった世界描写が大幅に増えたことで、『敵は海賊』の世界観を確立した作品といってもいいのではないだろうか。
前作が非常にハードな展開が多かっただけに、今作はよけいにコメディチックな作品に感じられる。
ラテルから見たアプロ観、ラジェンドラの性格、そして新人刑事を通してみるラテルという刑事の優秀さを描きつつ、彼らがいかに異質な存在なのかを強調するシーンが多く、全作品を通して読んだあとでも新たな発見が多い。
また、本作は天野喜孝による挿絵やカラーイラストなどが使用されており、そういった面での見所もある。

ストーリーは海賊課のラテルチームがくびを言い渡されるところから始まる。
ラテルたちはチーフから渡された再就職先の紹介状に従い、土星へと向かう。
そこでは、かつて発売禁止になったあるプログラムを利用した、海賊の罠が待ち構えていた――。

この作品を通して感じるのは、敵は海賊という作品の底知れなさだ。
ヨウメイという超人的な海賊と、これだけのコメディ性を持った存在が作品内で同居し、破綻せず物語が成立するのはなぜだろうか。
アプロだ――という人もいる。確かにアプロはマスコットであり、物語を進行させるエネルギーをもった強力な存在ではある。『神林長平トークショー』においてはなかなか貴重な意見が出ており、そこでもアプロは話題になっていた。
アプロは滅茶苦茶な存在ではあると思う。しかしアプロを契機にし、オープンになった敵は海賊の世界こそ、まさに滅茶苦茶なものだとも思う。
要するにアプロは非常に便利な枕詞のようなものではないか。彼が動くことでラテルやラジェンドラの支離滅裂さは初めてオープンになり、そこから間接的に『敵は海賊』が開かれるのだ。そしてアプロは後ろにつく言葉にあたるそういった要素を引き込むパターンが無数に存在しているのだ。
重要なのは――アプロによって引き出される『敵は海賊』の世界。つまり神林長平の発想そのものなのだろう。先生の発想の源はまさに、アプロの胃袋のように複雑怪奇で貪欲なものに感じる。

神林長平の真骨頂を『戦闘妖精・雪風』に見出すも、『火星三部作』に見出すこともできる。
しかし神林長平という存在は何なのかと問われるならば、僕は『敵は海賊』のどれかを差し出すだろう。
このシリーズを未読であるならば、それは大変損なことであると思う。
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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