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女王蜂




彼女は女王蜂である。慕いよる男どもをかたっぱしから死にいたらしめる運命にある。

横溝正史先生の金田一シリーズ。
今まで読んできた金田一作品の中では陰鬱さや不気味さは薄い。女王蜂は重い宿命を背負った絶世の美人・智子を中心とした悲劇作品という印象が強い。構成も金田一先生から智子へめまぐるしく変化していき、智子の出生の秘密、19年前に起こった父親の死亡事故の真相が少しずつ紐解かれていく。なかなかの長編で、智子の心情の変化などを丁寧に描いており、それがミステリーとしての爽快感を削ぐことにはなっているが、犯人の深い愛情や葛藤を描いた上でのラストシーンには少しだけ心が温まる。
今作の魅力は、なんといっても絶世の美人・智子の描写だろう。序盤から彼女のその魅力、そしてそれに虜になっていく男たちの愚かさ、人間の浅ましさをたっぷりと描いており、作品の強いテーマとして読者に強く印象を与える。『女王蜂』のタイトルの通り、智子の無意識に撒き散らす魅力、魔性の罠とでも言うのだろうか、その毒の恐ろしさ、底の深さを味わえる。金田一先生も彼女の変化に毎度たじろぎ、おののき、その滑稽な姿は相変わらず魅力的だ。
事件自体に深いトリックがあるわけではない――金田一先生が作中で言うとおり、考えすぎたがために事件の根本を間違えることになる――が、横溝作品独特の悲哀に満ちたお話としては、もちろん楽しい一作。舞台の季節が秋で、現場が様々に変化するのも旅行気分で楽しいので、秋の夜長には是非。
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テーマ : 読書感想文
ジャンル : 小説・文学

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